2型糖尿病における血圧とアウトカムとの関連は、とくに血圧が低い場合には十分に解明されておらず、低血圧域において死亡や心血管リスクが増加するJカーブ現象の有無が議論されてきた。今回、2型糖尿病患者を対象に、収縮期・拡張期血圧と全死亡や心血管イベント、腎アウトカムとの関連を検討した用量反応メタ解析により、血圧と多くのアウトカムとの関係は見かけ上のJ字型を示す場合があるものの、低血圧域でのリスク上昇は明確ではなく、全体としては線形または単調な関連を示すことを、中国・上海交通大学のSiyu Wang氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2026年1月14日号掲載の報告。
研究グループは、PubMed、Embase、Web of Scienceをデータベース開始から2024年11月30日まで体系的に検索し、血圧値と全死亡、心血管疾患および腎疾患との関連を評価したコホート研究を抽出した。血圧とアウトカムとの曲線的関連を評価するため、1段階混合効果モデルを用いた用量反応メタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・2型糖尿病患者587万5,364例を含む113論文から、89コホート研究が同定された。
・全体解析では、収縮期血圧と全死亡・心血管イベント、ならびに拡張期血圧と全死亡においてJ字型の関連が認められた。しかし、低血圧域におけるリスク上昇の勾配は緩やかで、実質的にはリスクは平坦化していた。
・ベースライン時に心血管疾患またはがんを有する参加者を含む研究を除外した解析の結果、収縮期血圧が低いほど心血管イベントのリスクは有意に低下し、全死亡リスクも上昇に転じることなく平坦化した。
・腎イベント、推定糸球体濾過量の低下およびアルブミン尿の新規発現または進行についてはJ字型の関連は認められず、血圧上昇に伴う正の線形または単調な関連が認められた。
これらの結果より、研究グループは「低い収縮期血圧は、高い収縮期血圧と比較して全死亡リスクを増加させる明確な証拠は認められなかった。これまで報告されてきたJカーブ現象は、逆因果関係および未調整の交絡因子による影響である可能性が高いことを示唆している」とまとめた。
(ケアネット 森)